広告や広報との違いは?今さら聞けないPR

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PRとは?

数年前から耳にすることも多くなった「PR」という言葉。

「PR」を経営に取り入れる企業も多くなった一方で、そもそも「PR」の本来の意味、「広告」との違いなどについてまだまだ分からない、という方も多いはず。

そこで今回は、改めて「PR」の意味や、「広告」「広報」の違いなどをご説明します。

PRの意味 その定義から紐解く

「自己PR」、「地方PR」、SNSのタイアップ投稿で見る「#PR」表記・・・。

「PR 」という言葉、なんとなく聞いたことがある、という方がほとんどかと思いますが、そもそもの語源は何なのかと問われると、どのくらいの方がご存じでしょうか?

ここではまず、PRの定義からその意味を紐解いてみます。

パブリックリレーションズ(Public Relations)は20世紀初頭からアメリカで発展した、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方である。

日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」より http://prsj.or.jp/shiraberu/aboutpr

このように、「PR」とは、「広告」や「広報」よりも広義の意味の言葉であることが分かります。

つまり、「メディア」との関係構築、所謂「メディアリレーション」だけではなく、「消費者」「ファン」「株主」「就活生」「従業員」などを含む、自社・ブランドを取り巻く全ての「ステークホルダー」と良好な関係を築くこと、がPRの本来の意味合いなのです。

これまで日本では、消費者の認知・情報収集・更にそこからの行動が、TVを中心としたマスメディアからの情報によるものがメインであったことなどから、「メディアとの良好な関係構築」=「メディアからの情報発信」=「PR」であると捉えられていました。

それでは、メディアパブリシティを軸にPRを捉えた場合、「広報」とはどのように違うのでしょうか。

「広報」と「PR」ってどう違うの?

一般に、PRの同義語として「広報」という言葉を使うことがあります。「広報」を文字どおり解釈すると、広く=社会に対して、報ずる=知らせる、という意味になります。「広報」の役割とは、企業やブランド、商品サービスの認知を広めるために、プレスリリースなどを用いて、“情報発信”をすることです。

「PR」は「宣伝」とほとんど同じ意味で使われるようになり、本来持っていた意味から離れてしまった。そのため多くの組織では、その職務を「広報」と呼ぶことが多くなっている。

ただ広報という言葉は、組織と社会あるいは公衆(パブリック)とのよい関係づくりという意味が失われ、組織の一方的な情報発信と受け取られがちである。パブリックリレーションズが本来持っていた〈よい関係づくり〉という点を忘れてはならない。

日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」より http://prsj.or.jp/shiraberu/aboutpr

つまり、「広報」が一方的な企業の情報発信であるのに対し、PR=パブリックリレーションズは、「戦略的コミュニケーションのプロセス」であり、終着点のある一方的な情報発信活動ではないということです。

メディアだけではなく、SNSなど、消費者の声の影響力も高くなっている現在、いかに第三者を通じた情報伝達がなされるか、つまり、第三者がいかに「広めたい」と思える情報を発信できるかということがPRの鍵となります。

それでは、「広告」と「PR」はどのような違いがあるのでしょうか?

それでは、「広告」と「PR」の違いは・・・?

「広告」は、基本的にTVであればCM枠、新聞や雑誌であれば広告枠、WEBであればディスプレイなどの「枠」を買い、その中で静止画や動画などのクリエイティブを活用しながら、宣伝することを指します。掲載される場所や大きさ、時間などによって金額が決まっています。

一方、PRは、ステークホルダー=メディア(※この場合)との良好な関係構築を第一の目的としたうえで、メディアが発信したくなるような情報を提供し、取り上げられるべき情報であると判断されれば、番組のニュースやWEBの編集記事として取り上げられることとなります。ですので、価値のある情報を戦略的に発信すれば、多くのメディアに取り上げられるチャンスがあり、そこに費用が発生することはありません。

ただ、本ラインの「PR」の意味が徐々に普及してきたこともあり、「PR」と「広告」の境があいまいになってきているという現状もあります。

PR視点で施策立案した結果、それが「広告=メディアバイイング」であることもあれば、「編集記事での露出を狙う=メディアアプローチ」であることもあるのです。

現在の「PR」の立ち位置

上記のように、これまで日本の「PR」の役割が、主に「メディアを通じた情報発信」と捉えられていたことから、メディア戦略を中心とした「PR」をご説明してきましたが、冒頭でご説明したとおり、「PR」の意味は、「全てのステークホルダーとの良好な関係構築」です。

今や、消費者の情報伝達経路はメディアだけではありません。

SNSや、インフルエンサー、消費者を含め、“PR発想”による戦略的なコミュニケーションを通じ、イメージ形成や認知の拡大を行う必要があります。

ここまでお読みいただき、「PR」の位置づけが、実は「広報」でも「広告」でもなく、“考え方そのもの”という認識が広まってきたのだということをご理解いただけるかと思います。

その結果、現在では経営そのものに“PR的視点”“PR発想”を取り入れる企業が増えているのです。

つまり、PR発想とは、全てのステークホルダーと良好な関係構築をするため、「社会(ステークホルダー)」と「企業(or商品・サービス)」を繋げること=“文脈作り”ということになります。

なぜ“PR発想”が必要なのか

それではなぜ、“PR発想”がビジネスにとって必要不可欠になっているのか。

それは、世の中の大きな3つの変化があります。

  • 情報爆発

世の中に流通する情報量が爆発的に増加し、人が受容できる情報量の上限を超えたため。

  • コモディティ化

多くの市場で特徴の類似した商品が並び、機能的価値による競合企業・商品との差別化は難しくなったため。

  • SNSの普及

SNSが普及し、企業やメディアだけでなく、生活者発のコミュニケーションが盛んになったため。

これらの3つの変化が背景にあり、消費者は、より自分にとって有益な情報、信頼できる情報、共感性のある情報を選別するようになりました。“企業主語”の”情報発信”では届きづらく、”第三者主語”の”情報拡散”、が届きやすくなっています。

情報爆発の時代だからこそ、企業主語の情報は簡単に流されてしまう一方で、メディアやインフルエンサー、家族・友人からの情報は受け止められやすいともいえます。

よって、共感性の高い第三者からの情報と、企業からの戦略的な情報発信、情報を必要な人への効果的なターゲティングを掛け合わせることでようやく、人々に情報を届け、行動を起こさせることが可能になるのです。

この情報過多な現代において、いかにPR視点で戦略的に施策を設計することが重要かお分かりいただけたでしょうか。

戦略PRの成功事例をご紹介!

“ガチ中華ブーム”を巻き起こし、新規店舗オープン時に行列ができた、日本初上陸肉まん店事例

中国で大人気の肉まん店が日本初上陸するタイミングで、日本で話題化させるための戦略PRを実施。メディアアプローチ/インフルエンサー施策/縦型動画広告施策など、包括的に実施した。

メディアアプローチでは、ローンチ1か月前から上、メディアへの情報提供を開始。中国での肉まん店の人気度合いと、日本での中華料理店増加の背景などの情報を盛り込み、報道資料を作成した。

オープン前日には、TVや新聞、WEBなどのメディアや、インフルエンサーを招き、オープン前試食会・記者発表会を実施。結果として、TV8番組を含む100以上のメディアに取り上げられ、オープン前から爆発的に話題化させることにより、オープン当日には、開店前から行列ができる状態に。

また、更なるリーチ達成のため、シズル感のある動画やインフルエンサーの動画を活用し、縦型動画を作成。作成した動画は、年齢や居住地から効果的にターゲティングの上、広告として配信した。

当時欧米で流行していた「RPA」という概念を日本で普及させるための市場形成PRを実施。まず、業界全体を啓蒙するため、「一般社団法人日本RPA協会」を設立。また、RPAと言えばこの会社!と、第一想起させるために、会社名を「オープンアソシエイツ」から「RPAホールディングス」に変更。

結果として、RPAというキーワードが日本でほぼ知られていない状況だったところから、最終的にはビジネス系のテレビ番組を含め、1年間で100件以上のメディア露出を通じて「RPA」の認知度増加に貢献した。また、上場のタイミングでは市場の占有率は80%を超え、カテゴリーリーダーとしてもブランディングに寄与することができた。

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